研修報告(午前の部)
まず最初に岩坂先生によるADHDを主とした発達障害児へのSTTの概要について講義がありました。それをもとに午前に2つ、午後に1つの模擬セッションが行われました。講義ではイラストや写真を用いてより具体的に分かりやすく説明して頂き、その概要を知ることができました。また午前の模擬セッションでは「結果の予測」「怒りのコントロール」がありました。参加者の中から児童役にそれぞれ6名ずつ出て、机に一列に椅子を並べて座り、それぞれ“多動の子”、“こだわりの強い子”、“衝動性の強い子”などの役割分担が与えられます。そのSSTにはルールと約束があってルールを守るとポイントが貯まるという動機付けを行っていきます。岩坂先生がリーダーとなって、児童役の皆で相手の表情を読み取る練習をしたり、相手の行動予測や怒りのコントロール方法を一緒に考えたりするというロールプレイを行っていきました。皆さんの迫真の演技に感心いたしました。発達障害児への対応に日々苦慮されている関係者は多いと思います。私も日ごろ家族や施設からの相談に頭を悩ますことが多いです。今回の研修で得たことを、今度、例のあの子に使わせて貰おうかなと思い浮かべております。楽しい研修ありがとうございました。今後ともご指導宜しくお願い致します。
(大阪府立精神医療センター松心園 宮口幸治)
発達障害のある子どもへのSST(午後の部)
当センターの思春期外来には様々な子どもが相談に訪れ、AS、ADHDをはじめとする軽度発達障害を持った子どもに対するSSTや親に対するプログラムのニーズを日々実感している所であります。そういった所に今回の研修会の話を聞き、是非参加して日々の診療のヒントを得よう!と思ったのがこの研修会に参加させて頂いた動機です。
午前の岩坂先生のセッションに続いて午後には、奈良県総合リハビリセンターで行われているAD/HDなど発達障害を持つ子どもを対象としたソーシャルスキルクラスの遊びプログラムに関して、澤本先生、神先先生によるセッションがありました。その内容は最初に感覚統合理論とそれをベースにしたSSTに関する講義があり、その後実際に遊びタイムの模擬セッションを受講者参加型で行うというものでした。「感覚統合理論」というものが耳慣れない受講者もいて、最初は何となく緊張感があったのですが、豊富な実例や視覚的効果、グループワークも取り入れ昼食後という時間帯に、まさに受講者の覚醒レベルと集中力を高める内容でした。また、模擬セッションの終わりには受講者全員の参加となり、場が大きく盛り上がりました。
最後に岩坂先生、澤本先生、神先先生を囲んでの質疑応答の時間が設けられ、プログラムの詳細や、発達障害のある子どもへのプログラム作りのポイント等に関して活発な議論がかわされました。午前、午後共に非常に充実した内容であり、今後それをどのように生かしていくか当センターから参加した他のスタッフと共に考えていきたいと思います。
(大阪府立精神医療センター 本屋敷 美奈)
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