「第4回近畿SST経験交流ワークショップin滋賀」に参加して
2007年2月18日 ピアザ淡海(おうみ) 滋賀県立県民交流センター
記念講演 「SSTの新しい展開〜子どものSSTを中心に〜」
奈良教育大学 岩坂英巳先生
先生がリハビリセンターで実施しておられる、注意欠陥多動障害(AD/HD)児童を中心とした軽度発達障害児童への行動療法を中心にお話しいただきました。
先生が実施しておられるプログラムは、「学習タイム」と「遊びタイム」の2部構成で、SSTで「場面や相手の表情を読む・誘う・尋ねる・頼む」などのソーシャルスキルの学習をした後、遊びの中で児童が学んだスキルをすぐに使えるよう工夫されていました。また、学習タイムでは、「しっかり見て・じっくり聞いて・はっきり言う」ルールと、「あてられてから話す・人の話は黙って聞く」などの約束があり、ルールの遵守によってジャッジマン(リーダーとは別のスタッフ)からポイントがもらえるため、児童が課題へ集中し、プログラム時間中は常に基本的なソーシャルスキルの訓練ができるようにしておられました。
その他にも、絵カードを使った課題の提示や、ボードを使って刺激となる視界を狭める方法など、視野の狭さや注意集中の困難を特徴とするAD/HDの障害に合わせた様々な工夫や、学校・保護者と連携をとり生活場面での課題遂行の支援をしてもらうなど、SSTの効果を上げていく方法について教えていただきました。
障害によってはSSTの実施が困難と思われることがありますが、先生のご講演を聴いて、支援者がその障害の特徴をよく理解し、障害に合った方法を工夫していくことでSSTの実施は可能であり、効果を上げられるのだと実感しました。
(滋賀県スクールカウンセラー 宮脇千恵)
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